魚に水が見えないように、私には車海老が見えない
自然環境に恵まれて育った私は、目の前にいつも海があり、そこから海水をくみ上げ、無投薬でより天然に近い環境を追求し養殖していることが、当たり前のことだと思っていました。
それが当たり前でないことを教えてくださったのは他人様でした。
現地視察にいらっしゃり、とある企業のバイヤー様からお受けした質問
バイヤー様「養殖にはどのような薬を使用されていますか?」
私「薬?使用したことがありません。」
バイヤー様「本当にしていないんですか?」と驚いて聞かれるので、
私「なぜそんなに驚かれるのですか?私どもは、車海老養殖に関わってから一度もお薬を車海老に与えたことはありませんよ。おそらく明治38年から一度も。」とお答えしました。
するとバイヤー様「車海老が病気になったりしたらどうするんですか?」
私「斃死します。だからできるだけ車海老にストレスをかけないよう過密にならないように、イケスの面積に見合った昔から受け継がれた尾数を守って養殖をしています。それでも海水温の上昇や脱皮中の酸素不足により全滅してしまうこともあります。だからこそ、出荷サイズまで生き残っている車海老は本当に生命力のある車海老だと思います。」
するとバイヤー様、今度は「え?では成長剤も使ってないんですか?」と。
私「どういうことですか?」
バイヤー様「早く大きく育つようにホルモン剤という薬を使うんじゃないんですか?」と。
私、ポカーーーーーん(◎_◎;)
我に返った私は「そんな薬があるんですか???」と驚き尋ね返しました( ゚Д゚)
バイヤー様「一切薬を使っていないなんてすごいことですね!」とおっしゃられるので、私には全く意味がわかりませんでした。
なぜなら、それ(無投薬)は私にとって当たり前の養殖方法だったからです。
さて、それから香港に行くことがありました。
ヤマト運輸様の国際クール宅急便が発売開始されることに伴い、弊社の車海老を香港の食品展示会に出展していただいたのです。
せっかく香港に行くのですから現地の市場調査をしたいと思っていると、とっても親切な現地のお二人がサポートくださり、観光地や一般家庭、スーパーなどを案内してくださいました。
観光地に行ったとき、みんなで現地の海老やカニをランチでいただいたのですが、私が現地の海老を刺身で食べようとすると、
お二人が「やめた方がいいよ!」と止めます。
私は「なんでですか?」と尋ねると、
お二人は「どんな薬をつかってるか、どんな場所で育ててるかわからないよ。」とおっしゃいます。
私は驚きましたが食べてみました。
するとお二人は「大丈夫?お腹痛くならない?」ととても心配されましたが、ラッキーなことになんともありませんでした。
そんなお二人は、私が持参した自社養殖の車海老はお刺身で召し上がりました。
私「何でこっちの車海老は刺身で食べないのに日本のは食べるんですか⁉️」と聞くと、
お二人は「日本産のは安心して食べることができるからだ。香港人が長生きするようになったのは、日本産の食べ物が手に入るようになったからだよ。」と仰いました。
そのような経験から、自社養殖で育てた車海老が当たり前ではなく、特別な車海老であることを知りました。
自社養殖の車海老を究極の鮮度のまま急速凍結した「金銀の車えび」
この名前になる前からですから発売して12年が経ちました。
だけど、いまだに、私にはこの当たり前の車海老をどのようにPRしたら良いのかわからず、LPも作れていません。
そう、魚に水が見えないように、人に空気が見えないように、私には車海老が見えないのです。
ただ、3年前からずっと求めてくださるのが
コロナ禍で何度も運行がストップしていますが、運行が決まるたびに必ずお声掛けくださり出荷しています。
そして、熊本の居酒屋花華様
こちらも、何度もまん延防止等重点措置による時短要請により大変な中、必ずこちらをお求めくださいます。
そして
衛生管理も品質管理も徹底されている生協様でもお取り扱いしていただけるようになりました。
なんとANA様も。
このような企業様にお求めいただくなんて奇跡のようなことが起こっています。
それはなぜなのか?まだまだ答えはわかりませんが。。。
これからも、自然と共存し車海老と正直に向き合い養殖に取り組んで参ります。
100年後も生産者が安心して生産活動を続けていけるように
天草の豊かな恵みに感謝。
この記事を書いたのは
- クリエーションwebプランニング スタッフ amakusacwp